今回は、ブルゴーニュ垂直水平の飲み比べをします。
同じ造り手の2013年、2014年を飲み比べて、ややマニアックですが収穫年や村の違いによる香りや味わいの違いを覚えていきます。
Domaine Bachey-Legros ドメーヌ バシェ=ルグロ
今回飲み比べをするドメーヌ バシェ=ルグロとは?
サントネ村のドメーヌであるバシェ=ルグロはサントネ上位機に拠を構える6世代続いてきた家族経営のドメーヌです。
このドメーヌの歴史は18世紀初めまで遡ります。
まるで絵画のような風景を見渡すことのできる絶景の中にある典型的なブルゴーニュの農家です。
クリスチャン・バシェ=ルグロが二人の息子ルナックとサミュエルと共に、このドメーヌの総責任者となったのは1993年のことです。
彼らは祖先から継承するサントネ、マランジュ、そしてシャサーニュ・モンラッシェにある16ヘクタールの畑をすべて自分たちの手で管理しています。
そのため、彼らの畑、ワイン造りに対する情熱は並々ならぬものがあります。
彼らの所有する畑はコート・ド・ボーヌの中でも最も古い畑のひとつです。
平均樹齢はおよそ60年で、サントネプルミエ・クリュを造る樹齢約100年のブドウはとても小さく凝縮して、新淵な味わいを生み出します。
現在では二人の息子が中心となり、とてもエレガントで香り高い、高品質のワインを造っています。
微気候(クリマ)
穏やかな大陸性気候で日照にも恵まれシャルドネ種、ピノ・ノワール種というふたつのブドウに完璧に適しています。
ブドウが熟していく間、決して過剰に暑くはならないので、ブドウに焼けたようなアロマを与えません。
新鮮で純粋な果実を守ることができるのです。
土壌
多くの畑は各区画の真ん中、太陽に向かって植樹しているため太陽の恩恵を受けて高い品質を生み出しています。
- Santenay Sous la Rouche / Santenay 1er Clos Rousseau / Chassagne Montrachet 1er Morgeot
石灰質が主体の土壌で新鮮なミネラルが純粋にワインに反映されます。
余韻が長いフィネスと複雑な香りが現れます。
ピノ・ノワール種は緻密で複雑な赤系果実のアロマを持っています。
シャルドネ種はふくよかで若々しい花のアロマがあります。 - Santenay Clos des Hates / Chassagne Montrachet Les Plantes Momieres
石灰質がやや多めの土壌です。
赤ワインは土壌からタンニンを造り、ワインの骨格と肉付けを造ります。
この土壌から生まれるピノ・ノワール種は赤系と黒系果実のアロマと持続性の長い余韻を持ちます。 - Bourgogne Pinot Noir
粘土質が強く、石灰質の影響は最も弱いです。
複雑で含みがあり、控えめなアロマを持っています。
栽培
減農薬農法(リュット・レゾネ)を用いています。
できるだけ化学肥料や除草剤を使用しないビオロックに基づいています。
化学肥料はできるだけ制限していますが、ベト病などの病害が発生した場合は最低限の量を散布します。
その年の個性を反映した上で最良のブドウを造ることを大事にしています。
2014年について
3月から6月までの間、5月を除いては非常に温暖で、雨が少なく日照に恵まれていました。
初夏を思わせる春でした。
4月上旬、例年より3週間早く、5月に原則して平年並となりました。
開花は6月の第一週で完璧な状態でした。
7月から8月末まで、雨が多く、日照が少なくて気温が低い日が続きました。
まるで秋の気候でした。
ヴェレゾンは例年通り、8月上旬に始まりました。
8月末から9月上旬にかけて、再び気候が変化しました。
それはまるで夏が戻ってきたかのようでした。
雨はほとんど降らず、高気圧の天候はブドウの成熟を促進させてくれました。
収穫は9月13日で完璧な状態で始まりました。
白に関しては糖度と酸のバランスが完璧で、まさに白ワインにとって最良のヴィンテージとなりました。
ブドウは全て健全で灰色カビも全くありませんでした。
例年、成熟が遅い区画のブドウも素晴らしい成熟度となりました。
赤ワインはフェノールが成熟した典型的な年となりました。
果皮は黒く、そして種子も非常に良く成熟しました。
しかしながら、わずかに灰色カビの害とスズキ虫による酢酸腐敗の害がありました。
選果台で、非常に用心深く大胆なまでに、酢酸腐敗の徹底した選果が必要不可欠でした。
赤、白どちらも収穫量は申し分なく、どちらも非常にエレガントで繊細さのある出来栄えとなりました。
フレッシュで純度の高い果実味に富んだワインとなりました。
コートドールの典型であり、クラシックな美点を備えた素晴らしいヴィンテージです。
赤ワインは、タンニンが強すぎず、しなやかさ、果実味が口いっぱい広がります。
白ワインは調和がとれて、果実味、酸味の一方に寄り過ぎず、非常にバランスが良い年となりました。
ブルゴーニュ垂直水平6種類
BOURGOGNE PINOT NOIR VIEILLE VIGNES 2014 2013
名前 | ブルゴーニュ ピノノワール ヴィエイユ ヴィーニュ 2014 2013 |
生産者 | ドメーヌ バシェ=ルグロ |
生産地 | フランス・ブルゴーニュ地方 |
種類 | 赤ワイン |
品種 | ピノ・ノワール種100% |
価格帯 | 3,000円 ~ 4,000円 |
この広域アペラシオンのワインはドメーヌの指標となります。
造り方は単一畑のワインと同じですが、特定のテロワールはそこまで感じれません。
ブドウのほどんどが軽やかなマランジェの畑のものを使っています。
果実味とアロマを表現するために、優しく、計算された抽出を心がけています。
COTE DE BEAUNE VILLAGES VIEILLE VIGNES 2014 2013
名前 | コート ド ボーヌ ヴィラージュ ヴィエイユ ヴィーニュ 2014 2013 |
生産者 | ドメーヌ バシェ=ルグロ |
生産地 | フランス・ブルゴーニュ地方 |
種類 | 赤ワイン |
品種 | ピノ・ノワール種100% |
価格帯 | 3,000円 ~ 4,000円 |
マランジェ村に1950年に植えたピノ・ノワール種を手摘みで収穫したものから造られます。
行政上ボーヌ市に属しながら、西の丘に位置する約50haの畑に与えられた呼称です。
コート・ド・ボーヌ全域を表すAOCではありません。
SANTENAY ROUGE LES CHARMES VIEILLE VIGNES 2014 2013
名前 | サントネ ルージュ レ シャルム ヴィエイユ ヴィーニュ 2014 2013 |
生産者 | ドメーヌ バシェ=ルグロ |
生産地 | フランス・ブルゴーニュ地方 |
種類 | 赤ワイン |
品種 | ピノ・ノワール種100% |
価格帯 | 4,000円 ~ 5,000円 |
シャルムの名前が示すように文字通り”魅力”に満ち溢れたワインです。
この区画は一級畑クロルソーの真下に位置しています。
石灰質土壌に由来する豊かなタンニンはしなやかで繊細です。
フレッシュなチェリーやスパイスのニュアンス、長い余韻を感じます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ブルゴーニュ地方の垂直水平飲みでヴィンテージによる違いを比べて見ると、思った以上に違いがあるワインもあります。
ワインはおもしろいもので、同じ地域や造り手で造られたとしても、その年に起こった出来事によりヴィンテージの違いが生まれてきます。
そういった面白さも感じれる飲み方が垂直水平飲みだと思うので、機会があればやってみてください。